2002.10.31
♪デビュー間近♪
9月になり、コーラスサークルの練習が正式に始まった。
そうそう、サークル名、まだ公表してなかったよね。
とっつきやすくて、メンバーのイメージに合っていて、覚えやすい名前。
『コーラス○○』とか『○○合唱サークル』っていうのじゃなく、楽しい名前。
その場にいたメンバーで、ああでもないこうでもないと考え、すごくシンプルな名前に決まった。
うちの学校、正式名称が立川第十小学校、通称『十小(じゅっしょう)』なのね。
『十小なんとか』にしたいね、そう言った代表のIさんの次の一言に、みんながうなずいた。
『じゅっしょうガールズは? 十小とshowガールを引っ掛けて」。
聞いた瞬間は、『…?』と思ったけど。
さすがに、自分で『ガール』を名乗るのは…って思ったけど(^^ゞ
とにかくなにか、サークル名を決めなきゃって、みんな煮詰まってたし、逆に笑いを取りそうで、それはそれでおもしろそうだったし。
『ママ』とか『ミセス』とか『マダム』とか、そんな言葉よりは、仲良しサークルのイメージがわきそうで、これに決定した。
うん、確かに、説明すると一発で覚えてもらえるんだもの(^^ゞ

普通の合唱曲って、もちろん全部が全部じゃないと思うんだけど、ソプラノがメロディって多いと思う。
それはそれできれいなんだけど、なんかつまらない。
カラオケやポップスを聴いてても、ついつい、メロディの上にハモリをつけてしまう私としては、それじゃあつまらない。
それに、ソプラノがメインだと、メゾもアルトもなかなか、出番がなくておもしろくなさそうなんだもの。
それで私、メロディーをメゾに持ってきた。
メゾの上下に、ソプラノとアルトで幅と厚みをつけることにしよう。
ソプラノ希望者って、コーラス部にいたりして、歌に自信がある人たちだろうから、多少高いところが続いても大丈夫でしょう。
それにね、うちのメンバーさん、代表のIさんをはじめ、アルトに強力メンバーがそろっていたのだ。
低音をしっかりキープしてくれるアルトメンバーがいたら、コーラスはすごくいいよね。
そういうわけで。
普通のコーラス部にはあまりない編成だと思うんだけど、23人中、ソプラノ(ハモリグループ)が私を入れて5人、アルト(ベースグループ)が8人、メゾ(メロディーグループ)が10人という構成になった。
これなら、新メンバーが入っても、楽譜に自信がない人はメゾから入ってもらえばいいし、歌っているうちに自分の適性が見つかるだろうから、それから別のパートに移ってもいいしね。

9月に入り、毎週練習が始まった。
みんな、それぞれに忙しい時間を縫っての練習だったけど、毎回けっこう人が集まった。
きっとみんな、楽しんでくれてたんだと思う。
私も、こういうメンバーでのコーラス指導って、全くしたことがなくて。
高校の時、ちょっとパートをまとめたとか、市民ミュージカルの練習中、空き時間のメンバーを集めて一緒に合唱の確認をしたりとか、その程度は経験があったんだけど、一からサークルをまとめていくというのは、全く初めてで。
しかも、メンバーが、子供の同級生たちのお母さんとなると、最初はどうしていいかわからなかった。
まずは歌ってもらって、パートを覚えてもらって、それから曲を作るところまでいかなきゃね。
楽譜が苦手な人もいるし、パートテープを聴いてもらって、それから覚えてもらわなきゃ。
一人一人の今までの経験の差があるから、一概にまとめることはできないし。
そう思いながら、何回かは、ピアノに合わせてパートで歌ってもらい、楽譜と曲に慣れてもらった。
20数人のパートテープを作るのは、ちょっと大変だったけど(*^_^*)
自宅で繰り返しテープを流しながら録るもんだから、娘がすっかりパートごとに覚えてしまったりして…(*^_^*)
でも、渡したテープ、みんなは聴いてくれていたようだった。
1回目の練習より2回目の練習、3回目の練習と、どんどん声が伸び、安定したコーラスになっていった。
『テープを車で繰り返し聴いて覚えたんだよ!』なんて言われると、恥ずかしい気もするけど、やっぱり嬉しいよね。
慣れてきた5回目くらいから、最初に発声練習もすることにした。
できるだけ腹式呼吸を使い、長く伸ばせるようにしたり、スタッカートで短く切れるようにしたり。
発声をしたあとの声は、ぜんぜんパワーが違っていて、正式なボイストレーニングを知ってるわけじゃないから不安なんだけど、のどや体に負担がかかる声だけは使ってないかな?と思えて、ホッとした。

週に1度の練習なんだけど、毎回、みんなの進歩が見える。
立って歌ってるだけじゃつまらないから、ステップを踏んでみたり、手拍子を入れてみたりと、思いつくままやってみては、みんなの反応を見ながら、歌い方が自然に決まっていった。
同級生で顔見知りのお母さんも、知らないお母さんもいるのに、並んで一緒に歌っているだけで、親近感がわいてるのがすごくわかるし、みんなの気持ちが一つになろうとしているのが、伴奏ピアノを弾いてる私にはよくわかった。
伴奏と言えば、最初からこれは、問題だった。
今のメンバーさんに、ピアノが得意という人がいなかったのね。
私が弾けば、問題はないんだけど、私はどうしても歌いたかったし。
それに、ソプラノはぎりぎりのメンバーにしてるから、これ以上減らせないし、本番にソプラノを歌いながら伴奏を弾くのって、やっぱり難しそうだったし。
メンバーで顔の広いSaさんが、心当たりをいろいろ探してくれた。
音大(私の母校だけど)の学生さんにも聞いてみてくれたんだけど、できることなら、保護者の中で見つかるのがベストよね。
学生さんだと、平日の本番や練習には付き合ってもらえないこともあるだろうし。
そこで見つかったのが、1年生の時に十小にいて、隣の市に引っ越していったSuさんだった。
短大の音楽科を出ていて、特にお仕事もしていないということで、私たちの練習に喜んで付き合ってくれる、とのこと。
私は初対面だったけど、Suさん、『こういう機会があれば久しぶりにピアノをちゃんと練習できる』と言ってくれたんだって。
確かにそうなのよね。
卒業して結婚してしまうと、毎日の雑事に追われて、なにか必要がなければ、自分のピアノの練習なんて、後回しになっちゃうもの。
『私なんかでいいんですか?』なんてSuさんは言うけど、もちろん問題なし!
私も安心して歌えるし、これからずっと、付き合ってもらえたら本当に嬉しいし。
これで最大の問題は解決。

10月に入り、いよいよ、発表会が目前となった。
学校に当日のスケジュールを聞くと、児童の鑑賞日の金曜日と、保護者の鑑賞日の日曜日、それぞれに時間が設けてあるという。
メンバーの中には、仕事をしてる人もいるから、平日の昼間は無理みたいなのよね。
でも、できる人だけでも2階、ステージを経験した方がいいだろうし。
メンバーに聞いてみると、金曜日に無理な人は数人だとわかった。
うん、これなら決行できる。決行しよう。
次に、衣装の問題。
最初、サークルを立ち上げる時の申し合わせが『ママさんコーラスっぽくないようにしたい』だったのね。
曲もポップスメインにやりたいし、目指すは『ハモネプ!』(知ってるかな…? ア・カペラのコーラスの番組ね)
そうなると、必然的に『白ブラウスに黒ロングスカート』という線は、却下となる。
代表のIさんの提案で、白Tシャツにジーンズ、それにバンダナを揃えよう、ということになった。
逆にこっちの方がかわいいよね、って、メンバーのみんなも賛同してくれて、これに決定。
衣装の買いだしは、IさんやHさんといった実行部隊さんにお任せし、私は音楽作りに専念させてもらった。

歌えるようになってくると、少しずつ夢はふくらむ。
『大変だから歌詞みて歌おうよ』なんて言ってたのに、『やっぱり暗譜して歌ったほうがいいよ』と言ってみると、『エーー??』と言った次の週、ほとんどの人が歌詞を覚えてきてくれて、感動。
ステップや手拍子も少しずつまとめていき、最後には全員が手をつないで高々と手を上げる、なんて感じにまとまった。
リズムももっと複雑にパート分けしたりしたかったんだけど、あまり大変にすると、本番で失敗する可能性もあるしね。
まずはこのあたりでまとめた方がいいか、ということになり、ひたすら、全員で練習を続けた。
参加希望だったメンバーのうち、都合で不参加の人が出たり、練習になかなか参加できない人もいてパートのバランスのため、パートの移動をお願いしてしまったり、間際になって、急な変更をお願いしたりしてしまったけど、どのメンバーさんも快く引き受けてくれ、ホッとした。
コーラス経験者の人が数人いたから、自然とその人を中心にまとまりを見せてくれたし。
なにより嬉しかったのが、メンバーたちのまとまり。
もう今はすっかり、みんなが仲間という意識が出てきてるのか、手拍子もステップも、見事に揃うようになり、見ていてすごく安定感が出てきた。
前日の木曜日の夜、体育館の本番のステージを借りて、出入りから歌までの練習をした。
この日だけは、全員出席。
それまで練習に出て来れなかったママも『ごめんね!』って言いながら駆けつけてくれ、みんなが練習してきたステップや歌を、必死でマスターしようとしてくれる。
『一緒に歌いたい』という意識が、一番大事なんだよね。
失敗したり、間違ったりなんていうのは、二の次なんだよね。
子供たちや先生方の前で、お母さんたちが楽しくがんばってる姿を見せるっていうのが、一番大事なことなんだから。
体育館の、一番後ろの壁の前で、お母さんたちのコーラスを聴きながら、私、すごく幸せに感じた。
思えば立ち上げてから2ヶ月くらい。
こんなにまとまってパワフルなコーラスになったのが、本当に嬉しくて。
みんなの力をひしひしと感じ、舞台に向かって、大きく手を振ってマルを作った。

2002.11.02
♪音楽学習発表会'02 Part.1♪
さて、いよいよ10月25日(金)。
「がんばってね! ママたちもがんばるから」
娘を送り出したら、後片付けもそこそこに私も準備。
今回は、数人のメンバーが都合で欠席だけど、大丈夫、大丈夫。
まずは音楽室に集合し、発声と最後のリハーサル。
朝からなのに、なかなかいい声が出てるね。
手拍子もステップも大丈夫。 これならうまくいきそう。
進行表の予定時間に合わせ、少し早めに体育館へと向かう。
初めの挨拶が終わって、今は1年生の発表。
今日は児童鑑賞日だから、体育館の後ろの方まで、子供たちが椅子を並べて座っている。
静かに入り口から入ったんだけど、後ろの方の6年生や4年生の子供たちの数人が、私たちに気づいて目を見張っている。
それはそうよねえ…。 どう見てもなにかの集団だもの。

体育館に、予定より早めに着いたので、娘たち3年生の発表も見ることができた。
3年生の発表は、タイトルが『パワフルミュージックショー』。
学校のある一日を、歌や演奏を通し、表現するという、ちょっとした音楽劇みたいな感じ。
私、『朝読書』というパートの、詩の朗読に合わせてのピアノ連弾を指導させてもらったの。
4人のグループで、たまたま娘も入っていた。
ピアノは習っていても、二人で並んでピアノを連弾するのは、きっと子供たちには初めての経験。
全部で1分という設定だったから、4人を2組に分け、交代で詩の朗読とピアノ(それぞれ30秒)という、けっこうタイトな出番(^^ゞ
曲を『ちょうちょ』と『メリーさんの羊』に決め、簡単な伴奏を考え、みんなで選んだ詩の朗読に合わせて時間を計って弾かせるという練習を、何度かした。
あとはそれぞれの自宅練習に任せたんだけど、本番では4人ともがんばってくれて、うまく成功した。
『誰かが止まってもまちがっても、気にしないで続けてね。詩かピアノかどっちかが早く終わっちゃったら、待っててあげてね』
練習からそう言っていたのが、功を奏したらしい。
その他の場面もみんなががんばり、3年生らしい元気な発表が続き、最後は全員の合唱で無事に締めくくられた。

ホッとする間もなく、次の5年生の発表が終わったら、いよいよ私たちの出番。
合唱が終わり、八木節の勇壮な迫力ある演奏が始まり、私たちは子供たちの横に整列して出番を待った。
舞台への上がり方は、ちゃんと前の日に練習したから大丈夫よね。
ふと横を見ると、2年生の中から、ピアノの生徒のユキちゃんが私を見つけ、手を振ってきた。
自分の知ってるお母さんを見つけた子供たちも、伸び上がったり指さしたりしながら、嬉しそうにこっちを見ている。
入れ替えの準備ができ、ソプラノの私たちから順番に、ステージに上がった。
私たちを見つめる子供たちの顔、顔、顔。
右端には校長先生や教頭先生、今日も見学に来たお母さんたちが座っている。
まずは、前日に練習しておいたご挨拶から。
代表Iさんの『私たち!』の声に続き、『十★showガールズでーす!』と全員でモデルよろしく両手を広げて上に挙げ、右足を少し前に出してポーズを決める。
『きっと子供たちは笑うよ。最初は笑いを取らなきゃ!』
みんなで話していた通り、セリフとポーズに、子供たちや先生方も大爆笑。
うん、和やかになったよぉ(*^_^*)
ちょっとざわめきが落ちつくのを待って、Iさんが曲紹介をし、ピアノのイントロが始まった。
ピアノが鳴ったとたん、笑ってた子供たちがスッと静かになる。
全員、左→右と、体を揺らしながら歌う。
最初はメゾだけのユニゾン、次にソプラノとアルトのハーモニーが加わり、全員コーラスになる。
練習中、『笑って! 明るい声になるから笑ってね!』と何度も言ったのを思い出す。
みんな、いい顔で歌ってくれてるかなあ?
メンバーの子供たちが、会場の自分たちの席で、一緒に歌ってるのが見え、思わず笑顔がこぼれた。
『翼をください』がきれいにまとまり、次は『WAになって踊ろう』
イントロがない曲(歌とピアノが同時)なので、私が4泊、手拍子を打つことになっていた。
ピアノと全パート一斉のユニゾン、それから手拍子で、力強く始まる。
会場のあちこちからも、同じように手拍子してくれるのが見える。
1メロからしばらくは、手拍子をやめることにしてたんだけど、お客さんまで一緒にやめてしまったのがちょっと残念。
でも、後半からまた始まる手拍子は、この調子なら、みんな参加してくれそうよね。
『翼』と対照的に、『WAになって』はずっとステップを踏みながらのコーラスなので、メンバー全員、さらに盛り上がっている。
間奏になり、また手拍子を始めると、お客さんたちも次々と手をたたき始める。
クラスの席に座っている先生方も、校長先生、教頭先生も大きく手拍子してくれて、体育館全部が一つの輪になった感じがした。
サビの『オーオー さぁWAになって踊ろう!』の部分、たくさんの子供たちが一緒に歌ってくれる。
歌の最後に舞台のメンバーが手をつなぎ、高々と両手を上げると、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
うん、大成功! ほんとによかった!!
この後、休憩が入り、用事があるメンバーたちは次々に帰っていき、残ったメンバーで休憩後の2・4・6年生の発表を鑑賞し、この日のステージはすべて終了した。
校長先生のご挨拶でも、『十★showガールズの皆さんも、本当にすばらしかった。』というコメントをいただき、みんなで顔を見合わせて喜んだ。

娘のクラスに行ってみると、仲良しの子供たちが口々に『十★showガールズでーす!』がおもしろかったと、真似をして見せてくれた。
子供たちが喜んでくれて、ほんとによかったよぉ。
『しぃちゃんのお母さんって、本当に声が高いね!』なんて言われたけど、聞こえたのかな??(*^_^*)
お返しに、子供たちをめいっぱいほめてあげた。
来ていたママたちや、先生方にも『すごくよかった』と言ってもらい、音楽指導担当として、とても嬉しかった。
うん、2ヶ月くらいで、ここまでまとまる演奏ができたんだもんね。
一人一人のメンバーさんの努力と、一つになろうというパワーが、しっかり実を結んだんだもんね。
後は、フルメンバーによる、27日の保護者発表を残すのみとなった。